若者の友である運命の女神をためすことは、女神の気分しだいで運も変わるということを許容することです。・・・・・幸運が離れたとき、破滅がはじまります。それは、家庭でも都市でも個人でも同じこと、幸運が離れれば、それをそれぞれ自分にあった別の手段で、再びとりもどさねばなりません。・・・・・
つまり、まったくやり方は変わらなかったのに、あるときは良き結果をもたらし、別のときには悪しき結果をもたらすものなのです。・・・・・
時代は変り、周囲の環境もめまぐるしく変わるのに、人間の考えとやり方が変わらなければ、その人は、あるときは幸運に恵まれても、別のときには悲運に泣くのです。ただし、もしも大賢者がいて、時代が変わることをいち早く察知し、それによって諸状況がどう変化するかも見きわめ、自らをそれに対応させることができれば、その人は常に運に恵まれるにちがいありません。・・・・・だが、この種の大賢者は存在しないため、人間はあいかわらず、近くのものしか見ず、結果として運に左右されざるをえないのです。・・・・・もしに、スキピオがイタリアであのやり方し、ハンニバルがスペインで彼のやり方で押しとおしていたら、彼らは、あればほどの効果を得ることはできなかったでしょう。
ニコロ・マキアヴェッリ
新政権の発足のもと、権力闘争に巻き込まれ、長年の第二書記局長の職を失い、10年分の給料にあたるほどの罰金を課せられた ニコロ・マキアヴェッリの手紙より
同じ年に、反メディチ家の陰謀に加担したと疑われ、逮捕され、拷問を受け、悪臭と壁にしらみが行列をなす地下牢に長期に渡って閉じ込められたという。
この本を思い出す。
モンテ・クリスト伯〈1〉 (岩波文庫)
著者:アレクサンドル デュマ
岩波書店(1956-02-05)
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