3ヘクタールのブドウ畑には赤ワイン用の「メルロー」、白ワイン用の「シャルドネ」を中心に8000本を越えるブドウの木がある。2008年以降は年間10000本を越えるワインが製造される予定。(引用:ヴィラデストワイナリー ホームページより)実はこのワイナリー、以前は熊が徘徊するほど人里離れた森だったそうです。
前回の薩摩藩士・長沢鼎(かなえ)がカリフォルニアに渡って葡萄王になった話に続いて、今日は長野の里山でワイナリーを作った玉村豊男氏の話です。
オーナーである玉村豊男氏は、はじめに600坪の土地を購入し、500本のぶどうの苗木からブドウ作りを始められました。枝葉の整理、芽掻き、雑草の刈り取り、剪定から消毒まで専門家のアドバイスを受けながら基本1人での作業。
当初は、収穫したブドウを近くのワイナリーに持ち込んで醸造してもらい、自家用として買い取って飲んだり、知り合いに配っていたそうです。そのうち、ブドウの木が成木となり、本格的にワイン作りを計画するようになったそうです。
しかし、日本でお酒を造るためには免許が必要で、取得するためには年間6000リットル(ボトルでいうと8000本)以上製造することができる設備と施設を用意しなければならない、そしてその資金。おまけに製造するだけではだめで、貯蔵するための樽や保管する倉庫が必要。(参考:新規ワイナリー開設時に必要な醸造設備機器費用だけで4500万円強かかるそうです。)
ワイナリーを起業するためにはこのように一個人が立ち上げるには多額の初期投資が必要で、その償却期間を耐えるだけの資金力が必要です。となると、当然ながらなんらかの別の事業で資金を稼ぐ必要があるということです。それがヴィラデストワイナリーの形である、ガーデン、ギャラリー、お土産屋付きレストランです。色んなな障害や苦難を乗り越えて、現在事業は大成功を収めて、口コミで人が集まるようになったそうです。本当、凄い!
玉村豊男氏が、税務署に届け出たワイナリーの設立趣意書に成功されているエッセンスがあると思います。
農業を続けることに意味がある。その土地を絶えず耕して、そこから恵みを受けながら、人も食物も行き続ける。それが農業であり、人間の暮らしである。ワイナリーを中心に地域の人が集い、遠方から人が訪ねて来、そこで作られたワインや野菜や果物を媒介にして人間の輪ができあがる。それが来訪者を癒し、地域の人びとを力づけ、双方の生活の質を高めていくことにつながるだろう。・・・
里山ビジネスには、ブランド作りや事業の本質に刺さる言葉がありました。
知られなければ存在しない。知られてダメなら致命傷。経営者としては素人ではじめられたそうですが、この本にはワイナリービジネスだけでなく、他の事業運営においてもあてはまることが数多く書かれた本だと思います。
里山ビジネスの究極の目標は、小さな農業をやりながら、小さな観光の対象として、小さな独立王国をつくることです。オーナーやそこで働く人たちの意気込みが伝わる目標です。一度訪れてみたいワイナリーとなりました。
今日の曲は、George Harrison - Got My Mind Set On You
- ブログネタ:
- 日本の農業が生きる道 食料の自給率など に参加中!