声援は心強い支えとよく言うが、状況によってはその声援が罵声に聞こえたり、神や天使の声に聞こえたり、あるいは単なる騒音にしか聞こえない場合がある。

人によって違うのかもしれないが、今回練習不足もたたり、途中約20キロあたりから本当に走っていることが苦痛に変わり、心の中でマラソンに参加したことを後悔するもう一人の自分が現れてきた。

何でお金払ってこんな遠くまで来てんだ、なんでこんな苦しい目にあわないといけないのかと参加したことを悔い始める。

その瞬間、「頑張れ〜、頑張れ〜」の声援が自分の中で素直に受け入れられなくなってくる。「言われなくても頑張っている。」「これ以上どうやって頑張ればいいのか。」など何で素直に感謝できないのかという自分もいることに気づく。

声援の中には「お疲れ様〜、ファイトです。」丁寧な応援(?)を一生懸命言ってくれる人がいたが、冷静に考えてみると、何だかアメとムチのような言葉だ。おまけに「ファイトです。(つまり戦いですです???)」部活の言葉かもしれないけど、どう考えてもヘンな言葉遣いだ。意識が飛びそうなぐらいで走っている者にはかなり耳障りに聞こえた。

とびっきりの耳障りな声援は、氷川きよしでも応援するようなおばちゃん3人くらいが自分たちの笑い(?)をとるために、「がんばれ、がんばれ」と何だか変なリズムと抑揚で振り付けまでいれて踊っている。もう完全無視するしかないと思うけど、どうしてもゆっくりしか走れない者にとっては否応なしに耳と目に入ってきた。

そうかと思えば、有難く思える応援もあった。「マイペース、マイペース、他の人のことは気にしないでその調子、その調子」、「両手をもっと大きく振って、足を上げて」、「あと何キロで給水場、次の関門まであと何分」つまりは具体的なことや的確な情報をくれた声援には、現状の修正すべきことを思い出させてくれて、次のゴール(関門)までの気力を与えてくれた。

フルマラソンは今回で3回目だったが、一般人が一度に体力と精神力を試されるスポーツは他にはそうそうないとまた実感させられた。

ちなみに初めて完走したときは、一週間ほど自分は何でもできるというわけの分からない自信が沸いたのをよく覚えている。

本音を言うと身体にあんまり良くないような気もするけど、走り終わった後の達成感や充実感がたまらなく癖になりそうなスポーツだ。

今日の曲は、Vangelis - Chariots of Fire